トレーディングカード

5 / 11, 2020

〔特別寄稿〕次に来るのはトレーディングカード!

トレーディングカード

私は1987年に9歳でカードを集め始めました。ちょうどスニーカーを集め始めた時期と同じです。そして、同年代の多くの方々と同じように、スニーカー集めは続けていましたが、カードからは長らく遠ざかっていました。金銭面からは、逆だったらよかったのにと思いますが(笑)、戻ってくるのは運命だったのでしょう。今では以前にもましてこの趣味にハマっていて、これ以上ないくらいワクワクしています。9歳の私は、きっと誇らしく思うに違いありません。

これは私に限った話ではないと思います。

まさに昨年4月のゲイリー・ヴェイナチャックの動画(英語のみ)の通りです:

私がカードの世界に戻ってきたのは、2018年のサンクスギビングのときでした。妻と子ども二人をミニバン(機能性と乗り心地は間違いなく最上級だ)に乗せて、フィラデルフィアにある両親の家に向かいました。いつも細かいことによく気づく私の母は、すかさず私が1995年に家を出て以来、初めて家に運転して帰ってきたと指摘してきました。これは、ついに実家の地下から私のベースボールカードをすべて持ち出す時がきたことを意味していました。母の理屈やミニバンのサイズに反論の余地はなかったので、そうして持ち出すことになりました。私はその翌週を地下で過ごし、昔のカードをすべて確認していきました。ケン・グリフィーが多めで、ウィリー・メイズが一ダースあるような、典型的なチープなガム会社のコレクションでした。オフィスに戻ったときには、もっと調べたくてワクワクしていました。

当時、StockXにはスニーカー、ストリートウェア 、腕時計、そしてハンドバッグの4カテゴリーがありました(コレクティブルは、まだストリートウェアの一部でした)。私たちは数年に渡って、当社のマーケットプレイスに追加するべく、何十もの新ジャンルを調べていましたが、カードについては深く踏み込んでいませんでした。(ちなみに、ナイキ本社のとある男性に提案いただいたバンジョーにも深入りしませんでしたが、この話はまた別の機会に。)

トレーディングカードが、当社の「モノの株式市場」モデルにぴったりだと気づくまで時間はかかりませんでした。このモデルは、当初からStockXの核であり、私たちの成功の秘訣です。どのカテゴリーも、サイトに追加する商品も、まず何よりそのモデルに合っていなければなりません。その後に、主にファイブフォース分析でたくさんの検証が続きますが、StockXならではの商品ごとの個別ページと入札・出品モデルに合っていることは、突破口になりました。

では、トレーディングカードはどう当社のモデルに合うのでしょう?

まずはじめに、StockXの他の商品はすべて、スニーカーやストリートウェアなどの消費財を、モノの株式市場モデルに合わせて商品化している点にご注目ください。ところが、トレーディングカードは消費財ではありません。始めから商品化されており、投資価値があるのです。

次に、私たちが2012年にStockXの前身であるCampless(キャンプレス)を立ち上げた頃に、スニーカー市場に見られた根本的な効率の悪さを振り返ると、唯一の問題は価格ガイドが存在しなかったことでした。当時、スニーカーの本当の相場を推し量る最善の方法は、eBayで非公開のオークションを検索することでした。では今日のトレーディングカード市場では、皆どうやって市場価格を判断しているのでしょうか?そうです、eBayの非公開オークションです。

最後に、商品ごとの個別ページの威力が挙げられます。Jordan 1 Travis Scott(ジョーダン1 トラヴィス・スコット)米国サイズ10のデッドストックなら、そう表示されています。シューズ実物の写真で、手に入るものを確認する必要はありません。2018年の Prizm Luka Doncic(プリズム・ルカドンチッチ)PSA 10でも、同様です。StockXでジョーダン1 トラヴィス・スコットが1ページなのと同じく、プリズム・ルカドンチッチのカード1種に、513項目2020年5月6日時点のeBayでの実際の検索結果)も必要ありません。

これでトレーディングカードは「モノの株式市場」にとって理想的な商品だと納得いただけたかと思いますが、ここに一つX-factor決め手がありますよね。本当にシャレを言うつもりはなかったのですが、StockXは現代のカルチャーにおいて重要な商品の指標になっています。 トレーディングカードはそこに含まれるのでしょうか?

今なら分かりますよね、次に来るのはトレーディングカードです。

でも私の言葉を鵜呑みにしないでください

上に挙げたゲイリー・ヴェイナチャックの動画をまだ観ていなければ、本気でこちらをご覧ください。

もしくはトップス社の最新企画から、ベン・ボーラーデザインの一番売れているカード(英語のみ)をチェックしてみてください。

あるいは、のダニエル・アーシャム作のこちらの巨大なポケモンカードを…

それとも、先週のトレーディングカードに関するスポーツ・イラストレイテッド誌のSports Illustrated Daily Cover記事(英語のみ)をお読みいただくか…

世界有数のスニーカーリセールECが、トレカに言及した最近のツイートをお気に入りに登録してみるとか…

ESPNのライターと一緒に、My Priceless, Worthless Trading Cards(英語のみ)に書かれた失われた幼少期を嘆くのもありです。

この数ヶ月間に、私はスニーカー、ストリートウェア、アートやファッション界の何人かの著名人に、トレカを始めるべきだと個人的にアドバイスしましたが、彼らのほとんどにとって、それはトレカの世界に戻ることを意味していました。

そして、そこにこそスニーカーとの多くの共通点があるのです。

2011年から2014年にかけて、Instagram人気に乗っかったスニーカー業界の急成長は、もっぱらこの領域に初参入した人々によるものでした。新規参入者は、スニーカーの世界に初めて足を踏み入れた子どもと、eコマースの時代にスニーカーを再発見した大人が半々でした。キャンプレスが本格的に伸び始めた2014年には、同世代の方から子供時代のスニーカーを探すのを手伝ってもらえないか、とのメールを週に何通も受け取るようになっていました。今日問い合わせがあったのは、アレン・アイバーソンのルーキーカードです。

そして、これはほんの氷山の一角に過ぎません。

[スニーカー]:今日ではStockXは、2015年の創業時点でスニーカーのリセール市場全体の規模と考えられていた以上のスニーカーを販売しています。[カード]:eBayのトレーディングカードの販売は先月、59%増加しました。

 

[スニーカー]:2015年に発売されたAir Jordan 1 Chicago(エアジョーダン1 シカゴ)は、すぐさま最大450ドルで転売されました。Off-White Jordan 1 Chicago(オフホワイト ジョーダン1 シカゴ)の成功を受けて、2015年版は1500ドル以上に跳ね上がりました。[カード]:「マイケル・ジョーダン:ラストダンス(The Last Dance)」の放送1ヶ月前スコッティ・ピッペンのルーキーカードは50ドルで販売されていましたが、初回エピソードが終わる頃には600ドルになっていました。

急成長は本物です。目に見える影響があり、具体的並外れています。そして量や価格、マーケット全体に影響を与えます。ただ、いつもお伝えしている通り、要は経済学の初歩、需要と供給です。そして、そこから話は、私がStockXで販売されている商品の需要を呼ぶ唯一の原動力だと考えている「融合」につながります。

今日のStockXの仮説を一語で表すなら、「融合」です。

スニーカー文化とメインストリームの融合。

ストリートウェア とハイファッションの融合。

小売とリセールの融合。

 アートと商業の融合。

そして今、トレーディングカードとその他すべての融合。

世の中が閉鎖される前に最後に行ったイベントは、1月のパリファッションウィークと、2月のNBAオールスターゲームの2件でした。そしてなんと、まったく同じ顔ぶれでした。ディオールのショーと、スラムダンクコンテストにいて、まったく同じ顔ぶれだったのです。ルイ・ヴィトンとジョーダンのパーティ?同じ顔ぶれでした。

では、スーパーボウルは?同じく。CES?アートバーゼル?コーチェラ?コンプレックスコン?インターセクト?同じ、同じ、すべて同じです。

「カルチャー」(どんなに恐縮しながらこの語を使おうと)を定義する同じ顔ぶれ、同じブランド、同じ企業が、今では業界を越えて存在しているのです。

要するに、ブランドが10年以上にわたって戦略的に希少性を上げていったことで、私たちの業界のスニーカー、ストリートウェア 、アパレル、コレクティブル、腕時計、ハンドバッグ、アートやファッションなどの商品は、今やかつてなく互いの境界線が曖昧になり、その結果、消費財と金融資産の境界線も曖昧になっています。そういう意味では、まるっきりトレカと同じです。そして、これらの商品の作り手は、世界屈指のスポーツ選手と同じくらい尊敬を集めています。なので、トレーディングカードそのものがこのカルチャーの一部になるのは、時間の問題です。

つまりお伝えしたいのは、次に来るのはトレーディングカードだということです。