もうすでにご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
マイケル・ジョーダンは1984年、ナイキと初めてスニーカーの取引を取りまとめ、年間50万ドル相当の5年契約で、彼自身のシグネチャーシューズとなるエアジョーダン1を受け取ることとなりました。まだNBAデビューする前で、ジョーダン選手の市場価値は不透明でした。ナイキはスーパースターの可能性を見出していましたが、それがスニーカーの売上につながるかどうかは分かりませんでした。ナイキは当初の販売目標として、最初の3年間で300万ドルをかかげました。1985年春にジョーダン1が発売されると、完全に予想を裏切って、初年度だけで売上高は1億2600万ドルに達しました。
それから35年経ちますが、ジョーダンブランドからは相変わらず世界で最も売れるスニーカーが出ています。2019年にはジャンプマンの売上が30億ドルを上回り、そのなかでもジョーダン1 レトロは1985年当時と変わらず、今でも最も人気あるデザインです。もとはジョーダンのバスケットボール選手としての超人的な能力から始まったエアジョーダン人気は、やがて一人歩きするようになりました。今ではジョーダンの伝説とジャンプマンブランドそのものが、イコールになっています。
夏に向けて、数多くのジョーダンの新作が注目されます。そのなかには、すでにかなりの限定品であることから入手困難と目されているものもあります。それ以外は取引が活発化する可能性を秘めた眠れるお宝です。
2020年のイチオシ新作ジョーダンはこちら。
2020春の新作
Jordan New Beginnings Pack
ジョーダン1の35周年は、シカゴでの2020年のNBAオールスターウィークエンドと重なり、ジョーダンブランドのクラシックを復活させるにはまたとない機会となりました。ジャンプマンではおなじみのセット販売で、この週末(あるいは一年)に最も注目を集めたリリースの一つです。これまでジョーダンのセット発売には、通常マイケル・ジョーダンのキャリアのある時期に関連したデザイン2種のジョーダンが入っています。2020年のセット商品であるジョーダン ニュービギニングス パックは、スターダムを駆け上がることとなったジョーダンの原点に焦点を当て、1984年のナイキエアシップを初めてそのまま復刻したものです。
ジョーダン ニュービギニングス パックは、2020年の新作ジョーダンのなかでも秀逸で、見すごされがちな歴史の教訓を示してくれます。確かに、エアジョーダン1がシリーズ最初の一足ですが、シカゴ・ブルズでジョーダンが初めて履いたバスケシューズはナイキ エアシップだったからです。ジョーダン ニュービギニングス パックの2足は、どちらも当初はエアシップでみられた人気の白×赤配色をデザインに取り入れています。ホワイトレザーのアッパーに施されたレッドのパーツが、エアジョーダン1とエアシップ双方の美しいデザイン構成を際立たせています。SNKRSパスでの限定発売は、ニューヨーク・シカゴ・アトランタに絞られていたことから、さらに特別感が増し、2020年のベストリリースと呼ぶのにふさわしいものになっています。
Jordan 5 Retro Off-White Black
これまでにジョーダン1のコラボ商品を3種類生み出しているヴァージル・アブローですが、2020年に宗旨替えして、初めて手にしたエアジョーダンにひねりを加えたのが、エアジョーダン5 メタリックです。ジョーダン5は先を見すえたデザインで、今も変わらず愛され続けています。アブローが自らに課したのは、ジョーダン5の元のデザイン要素は残したまま、わずかな変化で新風を吹き込むことでした。あちこちの微修正を経て結実したのが、ジョーダン5 レトロ オフホワイトです。
Jordan 5 Retro Off-White Blackはデザインを一新しつつも、アブローの懐かしさを感じさせます。復元された黒地のアッパーと、シルバーに輝く3M社のリフレクティブ素材のシュータンで、オリジナル版のカラーが生まれ変わりました。いくつか配された丸はDIY要素を加えたもので、購入者が自らの手で丸穴を切り抜いて(すてきなソックスをチラ見せしつつ)、シューズに空気を通すことができます。落ち着いたイエローのソールでヴィンテージ感を加えたデザインは、ピカピカのソールが黄ばむ心配もありません。2020年発売品のなかでも、とりわけこのジョーダン5の引き合いが強く、最も人気ある新作ジョーダンにもなっているのは、細部へのこだわりのためです。
Jordan 4 Retro Black Cat
マイケル・ジョーダンには、多くのニックネームがあります。His Airness(ヒズエアネス)、Air Jordan(エアジョーダン)、レジー・ミラーを差し置いてBlack Jesus(ブラックジーザス)などが、代わる代わるMJ呼び名になりました。しかし、幼少期からずっと使われていたのは、「Black Cat(ブラックキャット)」です。そこから着想を得たジョーダン4 レトロ ブラックキャットは、2006年の最人気新作ジョーダンになり、2020年に初めてレトロシリーズとして復刻しました。
ジョーダン4 レトロ ブラック キャットは、ジョーダン4のOGカラー以外で最も人気あるシューズの一つです。シンプルながら洗練されているので、それもうなずけます。控えめな黒ヌバックのアッパーが、サイドのメッシュネットとウィングやアイレットなどのパーツを引き立たせます。前傾構造のデザインで、光沢のあるブラックのミッドソールがベースに使われています。こういったディテールからなるブラック キャット4は、どんな着回しにも合う定番アイテムとなること間違いありません。かつてない使い勝手のよさは、試してみる価値はありそうです。
Jordan 1 Retro Court Purple White
ジョーダン1 レトロ コート パープルは、どこを取ってもお宝のにおいがプンプンしますが、驚いたことにほとんどのサイズがまだ300ドル以下で購入できてしまいます。その理屈は簡単で、このジョーダン1は、人気の新作ジョーダンが持つ重要な要素を完備・体現しているのです。
ジョーダン1 コート パープル ホワイト ホワイトは、ジョーダン1シカゴのOGシリーズの2色使いをそのまま採用しました。ホワイトレザーのアッパーにパープルレザーのオーバーレイとブラックのパーツで、オリジナルデザインにひねりが加わり、最近1000ドルものリセール価格をつけたジョーダン1のシャッタード バックボード 2.0を思い起こさせます。コート パープル1はまさに可能性のかたまりで、前身の人気作のいくつかと同じくらい伸びしろがあります。
2020夏の新作
Jordan 13 Retro Flint
ESPNのドキュメンタリー番組『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』は、これまで日の目を見なかった多くのデザインに脚光を当てましたが、どのエピソードでもひときわ目立っていたのは、エアジョーダン13 です。ジョーダン選手は、シカゴ・ブルズでのNBAファイナルシーズンの間中、エアジョーダン13を履いていました。OGカラー一種を除けば、ジョーダン13 レトロ ヒー ガット ゲームからジョーダン13 レトロ プレイオフまで全種が、ジョーダンのファイナルのコートでの日々とともにありました。その未登場のカラーが、こちらのジョーダン13 レトロ フリントです。
10年のブランクを経て、今回で3度目となるジョーダン13 レトロ フリントの復活は、タイミングもばっちりです。ジョーダンの世界的な需要は現在、天井知らずとなっており、ほぼすべてのデザインで直近2ヶ月間に過去最高の売上を記録しています。『ラストダンス』熱は衰える気配がなく、ジョーダン13 レトロ フリントがこの夏イチオシの新作ジョーダンになるのを待つばかりです。
Jordan 1 Retro High CO.JP Neutral Grey
エアジョーダン1 レトロ ハイ CO.JP ニュートラル グレイの復活は、2001年以来となります。初回リリースは日本のみで限定2001足、日本で人気のデザインを新色で出すという、現在も続くナイキのCO.JPプロジェクトの一環として実施されました。それから約20年経った今、ジョーダン1 レトロ ハイ CO.JPから、初のレトロが登場します。
ジョーダン1 CO.JP ニュートラル グレーは、ジョーダン1オリジナルのハイトップモデルをグレーとシルバーのパネルで仕上げていますが。初期モデル発売時には、金属製のブリーフケースに入っていましたが、2020年の復刻版がこの例にならうかは不明。確実なのは、ジョーダン1 CO.JPが2020年の待望のリリースの一つで、今年の新作ジョーダンのなかでもベスト入りする可能性大ということです。
Jordan 1 High Satin Snake (W)
サテン ジョーダン1シリーズからはサテン シャッタード バックボードやサテン ブラック トゥなどの大人気商品のリリースがあり、ここ数年でも最も人気のある新作ジョーダンの一つになっています。どちらも平均リセール価格は650ドルを超え、引き続き上がっていく傾向にあります。2020年のジョーダンブランドは、ジョーダン1 ハイ サテン スネーク(W)で新たに高級素材のレザーやサテンを加え、いっそうグレードアップしています。
ジョーダン1 ハイ サテン スネーク(W)は、ブラックトゥを反転させた配色で発売されました。ホワイトレザーのアッパーに、つま先と前足部分はレッドのオーバーレイで構成。足首のオーバーレイとスウィッシュロゴには、ブラックのフェイクスネークスキン素材が施されています。このジョーダン1では、レッドサテンはアッパーのサイドパネルに配するのではなく、シュータンで目立たせています。
Air Jordan 4 Off-White Sail (W)
ヴァージル・アブローによるシカゴ現代美術館(MCA)での展示会『Figures of Speech(フィギュアズ・オブ・スピーチ、言葉の姿)』のグランドオープンは、いまや3年になるナイキとの関わりを踏まえて、「あったかもしれない」ナイキの試作品というのパンドラの箱を開けました。オフホワイトとナイキの未発売モデルはネット上で話題をさらい、大量のナイキとジョーダンの試作品のなかでも、エアジョーダン4 オフホワイト セイル(W)はいちるの望みとなりました。
MCA外でのジョーダン4 オフホワイト セイル(W)の登場は、オフホワイト 2020年秋冬コレクション(英語のみ)のウィメンズ・ランウェイショーまで待たねばなりませんでした。2020年の最人気新作ジョーダンの一つになりそうなオフホワイト4への購入者の期待も高まりました。アッパーはセイルカラーのレザーと生地で構成され、ウィングとヒールタブのオーバーレイには半透明のトランスルーセント素材を使用。オフホワイトの代名詞である引用符を用いたテキストが、エアユニットなどアッパーに散りばめられています。かなりの期待を集めているジョーダン4 オフホワイト セイル(W)は、この夏の発売を予定しており、目を離せません。
噂の新作ジョーダン
Air Jordan 1 High J Balvin
第54回スーパーボールのハーフタイムショーの際、J・バルヴィンはこれまで誰も目にしたことのないジョーダン1でステージに登場しました。無論、有名ミュージシャンが、プレイヤーズエクスクルーシブ(PE)モデルを手にすることは珍しくありません。ナイキはジャスティン・ティンバーレイクの2013年「レジェンズ・オブ・ザ・サマー」ツアー向けに、3足を超えるジョーダン1 PEを提供しています。しかし、詳細が明らかになるにしたがって、スーパーボールで50ヤードラインをまたいだJ・バルヴィンのジョーダン1は、早ければ2020年内に一般購入できる可能性が出てきました。
エアジョーダン1 ハイ J バルヴィンは、 型破りなデザインのジョーダン1です。元のラインはバルヴィンの自由な精神に敬意を評して、創造的に崩されています。アッパーはすべて旧来のレザー2色使いから、タイダイ柄のキャンバスに打って変わり、クラシックから一変してサイケデリックな仕上がりになっています。トラヴィス・スコットに続いて、ジョーダン1のコラボデザインを正式に発表するミュージシャンはまだほんの2人目であることを考えると、ジョーダン1 J バルヴィンが2020年の最人気新作ジョーダンにランク入りするのは当然と言えます。
Air Jordan 5 Off-White Sail
ジョーダン5 レトロ オフホワイト ブラック発売のほぼ直後に、ヴァージル・アブローは自身のインスタグラムで、今年のイチオシ新作ジョーダンの色味は、ブラックばかりではないと発言していました。そして、いくつかのストーリーと写真投稿で、エアジョーダン5 オフホワイト セイルをお披露目しています。
ジョーダン5 オフホワイト セイルは、先行モデルにかなり近いデザインとなっています。同じテキスタイルアッパーを使い、アンクルパットと、ブラックと同様の丸穴が特徴です。ミッドソールのファイヤーレッドは地元のユニフォームを思わせ、アブローのシカゴとのつながりを考えるとピッタリのデザインです。ジョーダン5 オフホワイト セイルの公式な発売日は決まっていませんが、年内のリリースが期待されます。