この一年で私たちの働き方や遊び方、日々の過ごし方は様変わりしました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延がもたらしたパラダイムシフトには、まだ不明瞭な部分もありますが、パソコンの役割を根本から変えたのは確かです。グラフィックカード、とりわけNVIDIA RTXグラフィックカードが、ここでは話のカギを握っています。
世界中で多くの人々が在宅勤務や学習を余儀なくされたことで、社会が一体となって機能するのにパソコンは不可欠なものとなりました。また、PCゲーマーや暗号通貨マイナーの市場拡大を受けて、必然的にグラフィックカード需要は爆発的に増加。加えて、自動車と家電業界に影を落としている世界的な半導体不足が年内は続く見込みです。
グラフィックカードを初めて購入する方が増えるなか、その値段や技術面、選択肢の多さにとまどうことも少なくありません。そこで当社の分析とデータをもとに、NVIDIA RTXグラフィックカード購入のための総合ガイドをまとめました。これだけ押さえておけばばっちりです。
NVIDIA GeForce RTXのこれまで
NVIDIA(エヌビディア)社は1993年にGPUコンピューティングを発展させるビジョンの下に設立され、以来ゲームやプロ向けGPUの設計で業界をけん引してきました。GeForceシリーズは、1999年のNVIDIA GeForce 256 SDRの発売で登場。2020年に発表されたGeForce 30シリーズは、四半世紀近くにわたる同社の最先端テクノロジーと革新的な製品が集約されたものです。
GeForceシリーズからは、2018年に次世代コアアーキテクチャ「Turing(チューリング)」を採用したNVIDIA GeForce RTX 20が登場。そして、2020年9月にはGeForce 30シリーズと、Turingの後継モデルとしてAmpereマイクロアーキテクチャが公表されました。
RTXとは
RTXシリーズはRay Tracing Texel eXtremeの略で、リアルタイムのハードウェアレイトレーシングを可能にしたNVIDIA初のTuringマイクロアーキテクチャです。
Turingマイクロアーキテクチャは、数学者で計算機科学者のアラン・チューリングから名を取っています。専用のレイトレーシングとAlプロセッサを通じて、リアルタイムのレイトレーシングを実現した初の一般消費者向けアーキテクチャとして、2018年に発表されました。
レイトレーシングとは
レイトレーシング(光線追跡法)とは、光の働きを模倣することで、リアルなライティング効果や陰影・反射・分散・透過を生む、複雑で演算量の膨大なレンダリング技術です。
コンピューターグラフィックスへの応用は割と最近ですが、レイトレーシングの仕組みが紹介されたのは1532年のこと。ドイツの理論家、アルブレヒト・デューラーが『測定法教則』に著した装置を通じて取り上げたのが最初です。
NVIDIAのRTXは、それまでのGTXシリーズと異なり、リアルタイムでのレイトレーシングを搭載しています。レイトレーシングをマインクラフトのようなゲームに導入すると、驚くほど印象的なライティングの映像に仕上げることができ、ゲーム体験にさらなる没入感をもたらします。
NVIDIAのRTXグラフィックカードの値段
グラフィックカードには世界的な需要があることから、価格は常に流動的です。一例として、StockXで売れ筋のNVIDIA EVGA GeForce RTX 3060 12GB XCは、小売価格の390米ドルに対し、現在の需要を背景に目下840ドル前後で取引されています。
ミドルレンジのグラフィックカードの小売価格は、下は400ドルぐらいから始まってハイエンド寄りで1500ドル前後。しかし、世界的な品薄状態で、よいグラフィックカードが定価並みで見つかることはほぼ期待できません。
StockXでの購入価格は、取り扱いNVIDIA RTXグラフィックカード全種の平均で1,400ドル。ただ、モデルによってはこの水準以下で取引されています。
当社のデータによると、StockXで最も人気があるグラフィックカードはNVIDIA RTX 3070 ファウンダーズ エディション。定価500ドルに対し、平均1,200ドル前後で取引されています。レイトレーシング性能は、8GB RAM・ブーストクロック1.73 GHzと圧倒的で、ゲーマーにとって魅力的なお値打ち品となっています。最人気カードだからといって、最も高価なわけでもありません。
一方、NVIDIA RTX 3090 ファウンダーズ エディションは定価1,500ドルに対して、平均2,668ドルで取引され、当然ながら飛び抜けて高くなっています。
GeForce RTX 3090は、NVIDIAの最上位モデルで愛好家やプロ仕様です。24GBものGDDR6XメモリーにCUDAコア数10496、8K性能と、メディア関係者やコンテンツクリエイター向けとなっています。
ゲーマーとして最新かつ最高を求めるならRTX 3080 ファウンダーズ エディションを選べば十分で、RTX 3090よりはるかに安くで申し分ない性能が手に入ります。RTX 3080はStockXで2番目に人気があるモデルで、定価プラス1,300ドルの平均2,000ドルで取引されています。
標準的なゲーマー向けには、他にもすばらしいゲーミング体験や生産性が手に入る性能のものが出ています。2021年2月発売のNVIDIA EVGA RTX 360 12GB XC(小売価格390ドル)はその一例で、ゲームに十分な実力を発揮します。StockXでの取引価格は平均773ドルと、グラフィックカード全体の平均1,400ドルのほぼ半値。他モデルより優位な価格設定もあって、グラフィックカードの売れ筋トップ5入りしています。
そして、これらグラフィックカードの佳作にNVIDIA RTX 3060 Tiがあります。人気トップ5入りこそしていないものの、それなりの理由があって上位につけています。飛び抜けた4K性能はありませんが、強力なレイトレーシング性能を備え、1080pや1440pゲーミングには最適です。発売時はその価格が話題となり、定価400ドルにして圧倒的な価値と性能を提供してくれます。
ただ、現在はStockXでの価格が平均で1,200ドル前後となっており、グラフィックカードの供給不足による市場への影響がここでも見られます。
まとめ
グラフィックカードは、趣味としてのPCゲームの台頭の基盤となっています。GPUはしばしば装備の最重要要素と見られており、何年もプレーするうち大抵は一番にアップグレードを検討するパーツです。
ゲーマーにとってグラフィックカード選びは重要な投資です。金額に糸目をつけず最高品質を求める愛好家も、いいものを安くで手に入れたい人も、あなたにぴったりなRTXカードを探してみてください。