コレクティブル - 9 / 3, 2021

KAWS TALKS 東京の躍進ユースCOIN PARKING DELIVERY & BLUE ROOM ハツキ スペシャルインタビュー 

shun
フォトグラファー、デザイナー、DJ

shun
フォトグラファー、デザイナー、DJ

POLICEやJordan、最近ではSesame Streetとコラボをした若きアーティストのCOIN PARKING DELIVERY。作品と真摯に向き合って欲しいという思いであえて顔や声を出さないため、謎の多い彼にアートに興味を持った理由や彼の作品に対するモチベーション、または影響を受けたアーティストなどについて、彼のアトリエにて作品を見ながらお話を聞きました。

最初に自己紹介をお願いします。

主にペイントとデジタル作品の制作、または公共施設に描くミューラルなどで活動しており、企業とのコラボもしています。

アートに興味を持ったきっかけはなんですか?

自分が言語化しにくいことを伝える手段として、一番ハマったのが絵を描くことだったので、描き始めた感じですね。でも。元々アートを始めようとかと思って始めたわけじゃないですし、今もアートをやっているっていう感覚はないです。現代の言葉にしにくいことを作品に抽出している感じですね。将来的には遊園地を作りたいのでパブリックアートをやってます。

最近のブームはなんですか?

食ですかね。パンデミックが起こってから尚更食に気をつけるようになりました。食について調べていくと人類の今までの食べ物の歴史とかを紐解いていけます。例えばローマのグラディエーターとかがみんな菜食家だったとか、ゴリラって肉食べないのにすごい筋肉質で、タンパク質は植物性から摂取した方が体には良かったりとか、そういうのが結構面白いなと思っています。今はプラントベースのご飯にハマっていますね。

今日はどのような靴を履いていますか?

FACETASM x Jordan Why Not? Zer0.4です。この靴のビジュアルを担当しました。初めてのワールドワイド企画だったので思い入れがあります。元々この話をいただいた時に嘘だと思っていて、一生懸命制作をしていたんですけど、 その最中にもどこか信じられなくて、実際にでた時に「あ、本当だったんだ」みたいな。今まで一番興奮した仕事でした。RussellがWizardsにいて、八村塁さんも同じチームだったので、日本のテレビで八村さんのプレーが出た時に、Russellがこの靴履いているのも写ったりしていて、それもとても嬉しいです。

制作を行う時のモチベーションはなんですか?

モチベーションは展示する時の友達の反応ですかね。

僕は、アーティストとしてやってきていますけど、そこにあんまり執着はなく、あくまでも色々な人が僕の作品を見て考えの広がりができるってことを自分は狙っています。顔を出さなくなったことでこそ、コミュニケーションの大事さをよくわかりました。顔出さないからこそ、みる人とのコミュニケーションが作品を通じてでしかできなくなるので。そのコミュニケーションを通しての彼らの反応がモチベーションです。

制作している時のマインドはどのような感じですか?

制作している時のマインドは、僕の作品を見た人がどうするかを考えていますね。特に重要視しているのは、目線の誘導と色と構図ですね。結構考え込んで作るので、アイデアを練る段階から最短でも一週間はかかります。流れとしてはデジタルで描いて図面を引いて、色を作ってみたいな感じで進めていきます。その間もずっと受け取る側のリアクションを考えています。

最近自分が作った作品で特に思い入れのあるものとか、これは難しかったみたいなピースはなんですか?

特に思い入れのある作品は、Sesame Streetとのコラボですね。そもそもこの展示は「OSANAME」っていう一年前くらいに発表したシリーズの延⻑で、OSANAME にはルールがあって、自分が昔見たものだけを描くっていう縛りがあります。 SESAME STREETとのコラボ作品の背景は、自分の実家のシャッター通りで、今は閉まっているシャッターを全部開けて、活気を取り戻すみたいな。SESAME STREETって123ストリートで、実家のシャッター通りは国道123番線にあるんですよね。生まれた時からそこに共通点をずっと感じていてやりたいって思っていました。

想像するのが難しかったのは、BiSのジャケ写ですね。なんでもやっていいよっていう感じだったので、結構考えました。CDのスリーブをひっくり返すとメンバーの合成された顔にマスクが被るようになっていて、これを購入した人だけが作品を完成させることができるっていう仕組みになっています。蓄光のギミックも入れていて、いろんな意味合いを細部にこめて制作しました。

KAWSを初めて知った時はいつですか?

正直思い出せないです、、、。気づいたらKAWSのシンプソンズ作品とかも知っていましたね。でもちゃんと認識したのは、ペロタンでKAWSが展示していた時ですね。その時に展示を見て、描き方の上手さに感動したのを覚えています。

アーティストとして思うKAWSのすごさはなんですか?

技術力、作品構成はもちろんですけど、一番はKAWSの⻄洋美術における定義が面白いですね。彼は世の中にある定義を壊したと思っていて、KAWSは偽物っていう存在を本物にした人だと僕は考えています。 彼はオフィシャルキャラクターの目をXに変えてこれは偽物だって僕は定義しているように見えるのですが、なのにその偽物が高い価値があって売れているってなったらそれってもう本物なんじゃないかって思います。 目以外はオフィシャルなのに目だけを変えてアイデンティティーをひっくり返しているのがすごいです。

KAWSから受けた影響はありますか?

いっぱいありますね。まずKAWSの友達のために動く能力が凄いと思っていて、NIGOさんとのアイテムだったりとか。関係性をコミュニケーションに変えているっていうのがかっこいいです。一番尊敬しているのは、KAWSがアートシーンを、敷居の高い庶⺠が近づき難かったものから身近なものに変えた1人だと僕は思っています。それに影響を受けて「CPD HOME」っていうシリーズを作りました。これからは若い子たちもアートにもっと関心を持つべきだと思っていて、でも高いと持てないと思うんですよね。だから、「CPD HOME」のアイテムの価格帯を低く設定しています。そうすることによって、アートが身近になって、可能性がもっと生まれるのかなと。KAWSはアートって高いものなんかじゃなくて、コミュニケーションなんだということを教えてくれました。

KAWSが携わったアイテムでこれはすごいっていうものはありますか? 

携わったものほとんどがすごいので難しいですけど、一番は、昔南青山にあったショップ「OriginalFake」で展示されていた“解剖人間”のコンパニオンですね。あれは、フィギュアとアートを混ぜたものだと思っています。半分はフィギュアなんですけど、もう半分の臓器の部分が彫刻的表現のアートだと思っていて、“トイ”と“アート”を混ぜているのかっこ良すぎますね。

KAWS以外に好きなアーティストは誰ですか?

Super Aです。彼はアニメーションとか二次元の世界をよりリアルに紐解く作品を作っていると思っていて、時々連絡を取ってますが今一番コラボしたいアーティストです。彼に白井さんを描いてもらえたら最高ですね。

ストリートとアートの関係をどう見ていますか?

僕が思うストリートの定義は人間の当たり前の生活をストリートだと思っていて、生活に準じていない物はストリートじゃないなって。すべてをストリートってまとめるっていうよりかは、ストリートは常に生活の一部か、その人間の当たり前がストリートなのかなと。スケボーやっているからストリートじゃなくて、その人間にとってスケボーが生活の一部になっていたらストリートかなって思います。僕にとってアートを作ることが生活の一部なのでストリートなのかなって思うのでストリートとアートは常に共存していると思いますね。

どのKAWSのピースでもゲットできるよ!と言われたらどれが欲しいですか?

ホリデイのゴールドですね。このフィギュアのビジュアルの宇宙まで飛ばした映像がとても良かったのでこのアイテムが一番欲しいです。宇宙はロマンだと思っていて、自分の作品のも宇宙は関係している作品も多いです。

今後の目標やイベントの告知などありますか? 

9月から渋谷にあるDIESEL ART GALLERYで個展をやるのでぜひきて欲しいです。初の巨大作品もあるので楽しみにしていて欲しいです。よろしくお願いします。

 

 

 

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