コレクティブル - 9 / 3, 2021

KAWS TALKS - 東京の躍進ユースCOIN PARKING DELIVERY & BLUE ROOM ハツキ スペシャルインタビュー

shun
フォトグラファー、デザイナー、DJ

shun
フォトグラファー、デザイナー、DJ

最近、様々なファッションメディアで目にするようになったオンラインショップ「blue room」。リアルタイムで通っていない時代の洋服を独自のフィルターでセレクトし、提案しています。

今回のインタビューは、そのハツキ氏にblue roomを始めるまでの経緯から、彼らがメインに扱っている90年代のストリート、裏原、古着の魅力、またはKAWSについて、お話を聞きました。

最初に自己紹介をお願いします。

blue roomのハツキです。普段はオンラインショップの運営をメインに活動していて、90年代~2000年代初頭にかけてのストリートウェアを取り扱っています。去年まで実店舗があって、今はオンラインとポップアップのみで展開しています。

blue roomが始まった経緯を教えてください。

元々2018年に友人のセレクトショップsummer of loveが古着のポップアップを行っていた時、そのポップアップではデザイナーズの服がメインで、少しだけ裏原系って呼ばれる服を売っていて、それを僕が手伝ったのが最初のきっかけですね。そして同じ年の秋くらいに、summer of loveが毎週土曜日に雑居ビルを借りてポップアップをするっていうことから本格的に始め、最初はお手伝いという感じだったんですけど、そこから「ハツキがピックした服だけのラックを作ったら?」ってなって、「じゃあやってみようか」って。自分の好きな服を選んで置いたら裏原にフォーカスしたものになっていましたね。それでじゃあちゃんと始めようかなと思い、よく遊んでいた葛西くんとblue roomを始めました。古着屋を始めようとか思ってもいなかったので、全部私物を売っていましたね。売りたくないものばっかりで笑

服に興味を持ったきっかけはなんですか?

中学の時学校の下駄箱で初めて自分で選んだ靴がクラスメイトの子に褒められたのが大きいですね。本当に嬉しくて、そこで靴に興味を持ちました。でも1番の理由は、四つ上の兄が服好きだったので、兄の洋服を借りていたりしていて、兄のお下がりの2009年SupremeとA.P.C.コラボのアイテムを着たのが人生で最初にストリートウェアに触れたタイミングですね。そこからずっと興味があります。

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最近のブームとかあります?

昔の雑誌をひたすら集めていて、それこそ『Boon』とか。その中でこれ知らないなってなったブランドをディグることですかね。時代に埋もれたかっこいいストリートウェアっていっぱいあると思っていて、なんかいま昔のブランドがチェックされているけど、やっぱりみんなメジャーなところに行っている気がして。だからこそ埋もれちゃっているんですけどね。かっこよくて良いブランドってもっといっぱいあると思うので、そこを掘り出したいなって。それが最近のブームですかね。

今日はどのような靴を履いていますか?

今日は2005年に出たStashデザインのAIR FORCE 1です。Stashは本当に最高で大好きです。これはdeadstockでゲットしたので箱とタグもあります。買って履いたその日にエアーが経年劣化で壊れちゃったのですけど、修理して履いています。修理してまでも履きたい一足なんですよね。

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俗に呼ばれる「裏原」の服の魅力はなんですか?

文脈の面白さですかね。背景を知るとより一層着る時ブチ上がります。裏原の服に興味を持ったのが、文化服装学院在学中に、靴のアイデアを探すのに古い雑誌を読み始めて、最初は靴のアイデアを探していたんですけど、徐々に雑誌に載っていた藤原ヒロシさんやNIGOさんのスタイリングにハマっていきました。そこを辿っていったら、今ある服のデザインがここから始まったんだってなって。今あるこれの元ネタはこれなんだ!みたいな。周りの同世代でストリートウェアが好きな人はいっぱいいるけど、歴史を遡っている人ってそんなにいないし、「裏原」っていう言葉は浸透しているけど、僕は服だけじゃなくてその歴史を知った上で楽しみたいですね。調べていくと古着屋の人たちが話している裏原の話ってネットからかじった情報ばかりで、雑誌を読んでいたら彼らの話って結構テキトーだなって思ってしまって。そこの文脈をちゃんとしたいなって思ってblue roomを動かしています。本当にこの裏原って呼ばれているものの文脈って面白いと思います。それが魅力です。

現在開催中のアート展「KAWS TOKYO FIRST」に行ったと聞きましたが、いかがでしたか?

とてもよかったです。特に広告の上に書かれたアイテムやNIGOさんと作ったアイテムなどを見て、感動しました。あんまりアートとか詳しくないですけど、描かれている感じがしなくて。ベタ塗りしてある質感というか。あとキャラクターの配置の自然さとかもすごいなって思いました。元々この広告はこういうものだったのではないかとまで思わされましたね。

KAWS

裏原とKAWSの関係についてどう思いますか?

HECTICとKAWSの時計のアイテムだったり、BOUNTY HUNTERとフィギュアを作ったりなど密接な関係だったと思います。勝手な推測ですけど、日本の服のカルチャーがKAWSの魅力を引き出した大きなきっかけの一つだったのでは?と思います。みんなはハイプなKAWSに目が行きがちですけど、歴史を辿ってみるともっとKAWSの凄さがわかって面白いと思います。

KAWS以外に好きなアーティストはいますか?

一番好きなのはSK8THINGさんなんですけど、一番ヤバイと思うのはStashですね。Stashはアートだけではなく、ファッションにも大きく貢献した人物だと思っていて、彼が93年に始めたSUBWAREが大好きで、SUBWAREっていろんなアーティストのデザインがあって若手の人をhook upしているのがかっこいいなと思います。FAME CITYに所属されていたNESMさんがデザインしたアイテムとかもとてもかっこいいんですよね。

Stashは服をキャンバスに見立てて、グラフィティを落としこんで、いろんな人がグラフィティに触れられる機会を作った人だと思っています。KAWSもハイブランドからマスブランドまで広い客層に向けてアートを発信した人ですよね。それもとてもクールだと思っていて、2000年に入ってからはSUBWAREにACRONYMのErrolsonが携わって服のクォリティも上がっていいものになってみたいな。この文脈も本当にクールだなって思います。

KAWSでどのピースでもゲットできるって言われたらどれが欲しいですか?

Nike Air Max 90 Kaws Black Voltですね。名作ですよね。

エアマックス KAWS

 

 

 

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